― 第35回 嘯龍社展「オッとこれ」 ―

会期:2020年02月28日〜3月1日
会場:東京都美術館 2階 第1展示室

第35書団嘯龍社展および第36回日書学競書大会が開催されました。
本来は3月7日までの会期でしたが、新型コロナウイルスに対する政府の自粛の要請を受け、3月1日で閉会となりました。
会場に来られなかった人も多くいたと思いますので、今年度運営委員から 「オッと、これ」 と題して、気になる作品に対してコメントをいただきました。


《小山司雲撰》

湯浅幸扇

「ある日ひとりの旅人が…」

小山司雲より・・・
墨量に変化が有り、立体感が良く出ている。
文字の変化に一考あればさらによい作品になるだろう。




小野寺希翠
「静随芳草去閑逐野雲帰」

小山司雲より・・・
多字数に挑戦した向上心に意欲を感じる。
かすれの部分が有ればより良かった。
全体に線の強弱の変化が少ないのが「残念」。




《栗原翠雪撰》

森玉桂

「左右」

栗原翠雪より・・・
大胆かつ雄大にて墨色にも変化があり、特に収筆には厚みが加わり、生気がみなぎり躍動的で人柄が感じられる。




《菅沼芳香撰》

滝本春桜
「少年易老学難成一寸光…」

菅沼芳香より・・・
ベテランの作だけに味わい深い。
字の大きさが均等なので、連綿を入れ、変化をつけるとさらに良くなる作品と思います。




柳澤溪千
「花間一壷酒獨酌無相親…」

菅沼芳香より・・・
難しい三行書を無難に纏めた作品。強弱あればなお尚良し。




《佐々木早風撰》

高木紀雪

「四海隆平煙浪静斗南長…」

佐々木早風より・・・
全紙幅では狭過ぎる。丁寧な運筆、運腕は日頃の練習の賜物と、自戒した。
この流れで墨色と墨量にほんの少し気を使えば、壁面を圧倒できると思う。
憑物が落ちたのか、迷いのない線が物語り、ただ羨ましい。





大橋愛実
「かざん」

佐々木早風より・・・
筆の入れ方、筆の運び方、腕の動かし方が小学一年生にして見事、眼が止まった。
ひらがな二文字、自身も好きな名前と、笑顔が観える。
これからも字を書くことを楽しんでください。





鬼崎朔來
「海上生活」

佐々木早風より・・・
紙に向かい字を書くことに、真面目で集中力を感じる。
技術的な達成度もさることながら、その丁寧さに字を書く本来の意味を憶い出す。
書くことを面白がり、作品を前に話してみたいと思った。




《仲本竹峯撰》

江成玉苑

「卉(き)」

仲本竹峯より・・・
簡単で同じ形からなる卉に対して線質、墨量、墨色に変化が見られ、立体的作品である。
右下の空間と左上の墨量のバランスが妙である。
これからも新しい作品作りに邁進してほしい。





木村いこい
「水あそび」

仲本竹峯より・・・
太い力強い線、大きな字形、丁寧な筆運び、最後まで気持ちの入った収筆、これから大きく育つ大器を思わせる大好きな作品である。
これからも伸び伸びとした作品を書いてください。





平野夏妃
「たいよう」

仲本竹峯より・・・
太陽は暖かさの象徴。そんな暖かさを感じられる作品である。
入筆がとても丁寧でやさしい字に仕上がっている。
収筆の止め、払いをもう少し丁寧に書けたら、より素晴らしい作品になるだろう。
素直な気持ちで書を続けてほしい。





ご覧いただきありがとうございました。
あなたにとっての 「オッと、これ」 がございましたら、お教えください。

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